環境資源データ
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五條・吉野地域


オオダイガハラサンショウウオ
http://www.nara-edu.ac.jp/
ECNE/kaerhebi/kaisetu/oodai.htm


ムカシトンボ
▲ムカシトンボ

 本地域は、県土面積の約63.6%と本県の半分以上を占めており、紀の川(吉野川)沿いの北部平坦地域を除いて南部山間部は、豊富な森林資源、水資源と吉野・熊野の雄大な山岳地帯に代表される恵まれた自然環境を有している。

(1)動物の状況

 北部のやや低い山地部の動物相は大和高原地域とほぼ同じであるが、大部分を占める南都の山地は標高が高く、急峻であり、その間に渓谷が発達する。しかも、原生林が何方所も残されている。したがって、シシトウトガリネズミや昆虫ではオオミネヒメハナカマキリなど商標高種と、シナノホオヒゲコウモリ、モリアブラコウモリなど、またミドリシジミ類をはじめ独特な蛾・蝶相を示す原生林と、ナガレタゴガエル、ナガレヒキガエル、ヤマトイワナなど、昆虫ではムカシトンボといった清流や低水温に結びついた動物相が見られる。


カモシカ ヤマネ オシドリ
▲カモシカ ▲ヤマネ ▲オシドリ

ツルマンリョウ
▲ツルマンリョウ
左は雄株、右は雌株
(吉野郡吉野町河原屋、天然記念物妹山樹叢にて)
ブナ林林相
▲ブナ林林相
(吉野郡上北山村大台ヶ原、吉野熊野国立公園特別保護地区)


(2)植物の状況

 五條・吉野町地域には奈良県最高の八剣山(標高1915m)を中心にした大峯山脈、東に大台ヶ原山を始めとする台高山脈、西に伯母子岳山地があって、山岳地帯が占める。近畿地方ではこの地域のみである亜高山針葉樹林のシラビソ林、トウヒ林が見られ、その下都に夏緑樹林のブナ林が広く発達している(第1図)。なお、第1図中、雲霧地に発達するブナ林に、ブナーツクシシャクナゲ林がみられるが、分布域の下部に発達するものには、ツクシシャクナゲではなくホンシャクナゲが占め、ブナーホンシャクナゲ林となるところがある。

 夏緑樹林と照葉樹林を分ける平均的な標高1000mラインは、優占種による相観が著しく異なり、植物相もこのラインを境界にして、ウラジロモミ、オオイタヤメイゲッ、サワグルミ、ムシカリ、ナナカマド、アケボノツツジ、シロヤシオ、タンナサワフクギなどと、モミ、イロハモミジ、モチツツジ、サワフタギなどのように違いをみせ、林内に生育する草本も違ってくる。とくにソバヤキ要素がブナ林を特徴づけている。

 この地域には、シダ植物ではヒメスギラン、スギラン、ヒモラン、ヒモカズラ、ヤマクラマゴケ、エゾプユノハナワラビ、ヤシャゼンマイ、タカサゴキジノオ、ナカミシシラン、ヒメイノモトソウ、コタニワタリ、ヒロハアツイタ、オオミネイワヘゴ、タニヘゴ、アミシダ、キレハオオクホシダ、オオクホシダ、被子植物ではシラビソ、トウヒ、バラモミ、トガサワラ、イチイ、双子葉植物ではダケカンバ、オオヤマレンゲ、フクジュソウ、ヒメイチゲ、レンゲショウマ、キイセンニンソウ、イワガサ、シモツケ、ユキヤナギ、ミヤマトベラ、カジカエデ、メグスリノキ、オガラバナ、ヒメイワカガミ、コメバツガザクラ、ツガザクラ、コメツツジ、コケモモ、イワザクラ、単子葉植物ではキイジョウロウホトトギス、チャボホトトギス、サルメンエビネ、フガクスズムシソウ、ヒナチドリ、ウチョウラン等、他地域に見られない種を多く持つことも特徴的である。


大台ヶ原
▲大台ヶ原

(3)地形・地質の状況

 本地域は、吉野川沿いに複数の河岸段丘が連続的に発達した五条地域と、それより南側のいわゆる外帯山地地域とから構成されている。吉野川沿いには中火構造線がほぼ東西方向に走り、当地域の西部では現在も活動中である。

 外帯山地は、ほぼ東西の走向で多くの場合北落ちの傾斜を示す四万十黒帯、山上ヶ岳を中心に衝上岩体としての秩父黒帯、および、大峯酸性岩類を中心とする第三紀の貫入火成岩から構成された、いわゆる紀伊山地である。紀伊山地は、第四紀を通 じての隆起重が1000m以上に達するとされる。この急激な隆起により、穿入蛇行を伴う深いV字谷が形成され、その両側の急斜面 には滝が発達した懸谷が分布する。これらの急斜面は斜面崩壊や土石流など発生しやすく、明治の十津川大水害では、土石流堆積物により水深が数十mにまで達した天然ダムが形成された。

 石灰岩地域が小規模ながら存在し、県指定の天然記念物である面 不動鍾乳洞をはじめとして数多くの石灰岩地形が分布する。これらの地形は、県内外から多くの見学者が訪問している。さらに、大台ヶ原はゆるやかな起伏をもつ高原状の山地であり、氷河時代に形成された地形も残存している。玉 置山にはかつて海底に堆積した枕状溶岩が分布する。本地域には、これらに加えて良好な自然環境が多く分布し、吉野熊野国立公園をはじめとして国定公園、県立自然公園が数多く指定されている。


十津川村 武蔵の盆踊り
▲十津川村 武蔵の盆踊り

(4)文化財の状況

 吉野宮滝は、縄文遺跡だけでなく、七・八世紀には離宮が作られ、また道教の神仙世界の地と考えられていた神秘の地であり、吉野山の金峯山寺は、役行者を開祖とする修験道の根木道場として知られ、熊野三山、大峰山とともに修験道の霊地として崇敬されてきた。吉野山は南北朝時代に南朝の本拠地となった地で、吉野町や西吉野村、川上村、上北山村には、後醍醐天皇陵や皇居跡、後南朝時代の遺構などの史跡が点在している。十津川村の大踊りや野迫川村のオコナイ、大塔村の篠原踊りなどの民俗芸能や年中行事が守り継がれている。中・近世には「伊勢街道」、「束西熊野街道」や「高野街道」、「紀州街道」などの街道沿いに発達した地域で五條市内などには旧街道の面 影を残すまち並みがみられる。


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